日本人間性心理学会 第37回大会


ワークショップ05


心理臨床家の組織へのかかわり方
-質的研究法を活用しながら-

講師:新田泰生

筆者は、企業組織、大学組織の組織の中で、組織全体を対象としながら、組織臨床活動を実践してきました。
今回のワークショップで検討する組織臨床事例は、産業組織における、メンタルヘルスネットワーク作りのものですが、そこで必要とされる要点は、産業領域に限らず、学校組織、医療組織、福祉組織においても共通し、どの領域においても重要とされる内容だと思います。
個人臨床は得意だが、組織臨床に取り組むことが苦手な心理臨床家が多いと言われています。
また、組織の一員として働くとはどういうことなのかは、なかなか難しい問題だと思います。
こうした組織臨床に関わる時の姿勢と技法のスキルアップをワークショップの目的とします。
研修内容は
①キーパースンの言動や組織のダイナミックスをどのようにアセスメントするか
②個人臨床の経験をどのように組織臨床に活かすのか
③組織臨床で、質的研究法をどのように活用するか
等です。
特に、質的研究法では、アクションリサーチや分析ワークシートの活用の仕方に焦点を当てます。
組織臨床事例を用いて、少人数のグループ・ワークも取り入れて、進めていきます。


講師紹介

学歴

早稲田大学大学院文学研究科修士課程心理学専修終了

職歴

宝仙学園短期大学教授、三菱電機情報技術総合研究所健康相談室非常勤カウンセラー、桜美林大学大学院教授を歴任

学会等役職歴

日本人間性心理学会常任理事、日本産業カウンセリング学会理事、日本臨床心理士会産業領域委員長、日本臨床心理士会理事を歴任

現職

神奈川大学大学院人間科学研究科臨床心理学研究領域教授、神奈川大学人間科学部心理発達コース教授

研究テーマ
  1. 産業臨床心理学(産業組織への関わり、復職支援等)の研究
  2. 質的研究法(修正版グラウンデッドセオリーアプローチ、アクション・リサーチ等)の研究
  3. 心理療法(フォーカシング、マインドフルネス、心理臨床家の養成等)の研究
主な研究論文

新田泰生(1999)「教育研修を中心とした企業相談室の開設とその後の運営」『産業カウンセリング研究』3(1),1-7
新田泰生 (2002) 「産業領域における活動モデル」下山晴彦・他 (編)『講座臨床心理学6社会臨床心理学』東京大学出版会127-145.
能知正博、伊藤義美、新田泰生(2003)『方法論セミナー「質的研究におけるグラウンデッドセオリー法の位置づけ」』『人間性心理学研究』21(2) 299-325. 日本人間性心理学会
新田泰生(2012) 「研究方法をめぐって」日本人間性心理学会編『人間性心理学ハンドブック』創元社144-151.
新田泰生・足立智昭(編)(2016).『心理職の組織への関わり方  ―産業心理臨床モデルの構築に向けて』誠信書房


定員40名程度

組織臨床や質的研究法に関心のある方