日本人間性心理学会 第37回大会
ワークショップ07
「パーソン・センタード・セラピーの現在」
講師:中田行重
新しい心理資格が医療に偏りがちであることや、認知行動療法が心理療法の業界を独占しつつある現状を考えると、私はロジャーズ派の存続の危機を感じます。
わが国ではロジャーズ派というと、ロジャーズとジェンドリンだけが取り上げられがちです。
たしかにこの2人の功績は今も光を放ち続けていますが、ロジャーズ派にはそれ以外にも様々な理論的/実践的発展があります。
それらは、それぞれの国で同様の危機を感じた海外のロジャーズ派の実践者たちが、“ロジャーズなんて時代遅れだ”、“ロジャーズ派は甘い”などと言われないように、という問題意識から、自分の実践を濃やかに言語化し、研究を積み重ねてきたものです。
その理論的蓄積はロジャーズの深さを一層際立たせると同時に、もう一方で、ロジャーズを超えて現代の心理臨床の状況に敢然と立ち向かう礎を与えます。
このセミナーではロジャーズ以後のパーソン・センタード・セラピーの発展について解説します。
その中ではロジャーズ派内の対立もお話しします。
しかし、なぜ内部対立があるのかを知ることは、ロジャーズを深く理解する上で豊かな刺激になるでしょう。
現代の心理臨床の業界で働く上で有用なワークショップになれば、と思っています。
講師紹介
関西大学臨床心理専門職大学院 教授。
九州大学で学部から大学院を通じて村山正治先生のもとで学ぶ。
神田橋條治先生にスーパービジョンを受ける。
国際学会WAPCEPCや人間性心理学会で元理事。
主な論文
「Rogersの中核条件に向けてのセラピストの内的努力 : 共感的理解を中心に」
「わが国におけるパーソン・センタード・セラピーの課題 」
(いずれも心理臨床学研究)
定員50~60名
ロジャーズのこと、少なくとも中核条件、およびフォーカシングや体験過程理論を知っている人。
出来れば少しでも臨床経験を積んでいる人が望ましい。