日本人間性心理学会 第36回大会
ワークショップ3
ワークショップ3
レッツ!当事者研究
-当事者研究を理解し実践するためのワーク-
向谷地 生良
【内容紹介】
当事者研究は、統合失調症などを抱える人たちの生きる苦労の経験の中から生まれた“生活知”を創出する自助(自分を助ける、励ます、活かす)と自治(自己治療・自己統治)に向けた実践的な研究活動です。
これは、当事者の苦悩の体験から生まれたリカバリーの理念が示すように、従来型の「専門家が症状を取り除く」「専門家の知識や経験に助けられる」という発想ではなく、当事者自身が「何が起きているのか」「どう生きるか」「どんな意味があるのか」を軸に仲間とともに前向きな試行錯誤を繰り返す中で、「自分を助ける手立て」や新しい状況理解を見出そうとする一連の活動を意味します。
この当事者研究の発想は、さまざまな領域に影響を与え、2015年には、東京大学先端科学技術研究センターに、当事者研究の専門講座が立ち上がり、研究所もできてより学際的な研究へと発展しつつあります。
このたびのワークショップでは、当事者研究を育んできた理念、思想に触れながら、臨床での活用についても参加者の皆さんに体験していただきながら、今後の実践の足掛かりとなる学びの時としたいと思います。
【講師紹介】
ソーシャルワーカー。青森県十和田市出身。
1978年4月より北海道日高にある浦河赤十字病院医療社会事業部にソーシャルワーカーとして勤務し1984年4月に「浦河べてる(“神の家”の意)の家」の設立に参加、日高昆布の産直をはじめとする事業を推進、総勢100名をこえる当事者が関わる。
2001年より「当事者研究」を創始し、自助活動や相談支援に取り入れる。
2003年4月より、北海道医療大学看護福祉学部で教鞭をとりながら、べてるの家と全国各地をメンバーとともに「当事者研究」の普及をめざして飛び回る毎日を過ごしている。
2011年に当事者研究をテーマに韓国で、2012年アメリカのモンタナ大学(講義)、2013年2月にはスリランカの国立精神保健機構(講演)、2014年にはバングラディッシュ、イギリスでも当事者研究の研究交流がはじまる。
著書は、『べてるの家の非援助論』(医学書院・共著)、『べてるの家から吹く風』(いのちのことば社)、『技法以前』(医学書院)、他多数。
専門は、精神障害者リハビリテーション、精神保健福祉ソーシャルワーク。
【定員・参加条件等】
定員 20~30名
参加要件 『技法以前』(医学書院)を読んでくる。