日本人間性心理学会 第36回大会

ワークショップ4

ワークショップ4


修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M -GTA)と臨床実践
-リワークプログラムや組織臨床を題材として-

新田 泰生


【内容紹介】

今現場で求められているのは、最先端の現象に対して、数量的研究が行えるほど、大量の事例・記録はまだ存在しませんが、例えば現在ある8 ~10の事例や記録から、臨床実践に役立つ仮説となるモデルを、どのように作り出せるかなのです。
そこでは、一般理論ではなく、このフィールド、この現場に生じた現象を説明する、状況密着型理論を作りだせることが大切です。
そのモデルをたたき台として、現場で試用し検討して、さらに役に立つモデルへと修正していきます。
M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)は、臨床記録等の言語データへの研究者の主観や経験を排除せず、むしろ研究者が自身の臨床経験と問題意識を活かし、現象を深く解釈・考察することを研究の重要な要因と認めて、しかしそこに研究者の思い込みや偏見が入り込みすぎないように、分析ワークシートや継続的比較分析等の様々な方法論的工夫を加えた質的研究法です。
うつ病の復職支援に顕著な効果をあげている治療法であるリワークプログラムで、参加者がどのような体験プロセスをたどるのかを、M-GTAでモデル化した研究を検討します。
また、日常の記録データの中から、M-GTAの分析ワークシートを用いて概念を作り出し、それを現場に戻して、修正しつつ実践に役立てていく実践家向けの方法である「普段使いの分析ワークシート」も紹介します。


【講師紹介】

早稲田大学大学院文学研究科修士課程心理学専修修了。
日本人間性心理学会関東部会長、日本人間性心理学会企画活動委員長、日本人間性心理学会常任理事、日本臨床心理士会産業領域委員長、日本臨床心理士会理事を歴任。
現在、神奈川大学大学院人間科学研究科臨床心理学研究領域教授、神奈川大学人間科学部心理発達コース教授、日本臨床心理士会産業・組織領域副委員長。
研究テーマは、質的研究法(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ、アクション・リサーチ等)、産業臨床心理学(産業組織臨床、リワークプログラム等)、心理療法(フォーカシング、マインドフルネス等)など。

主な著書・論文

1)新田泰生(2016)「方法論を意識した産業心理臨床」新田泰生・足立智昭(編)(2016)『心理職の組織への関わり方 ―産業心理臨床モデルの構築に向けて』1-16 誠信書房
2)新田泰生(2012)「研究方法をめぐって」日本人間性心理学会編『人間性心理学ハンドブック』144-151 創元社
3)木下康仁、新田泰生、小野京子(2006)『方法論セミナー「質的研究におけるM-GTAの位置づけ」』『日本人間性心理学会第25回大会プログラム・発表論文集』40-41
4)能知正博、伊藤義美、新田泰生(2003)『方法論セミナー「質的研究におけるグラウンデッドセオリー法の位置づけ」』『人間性心理学研究』21(2)299-325 日本人間性心理学会
5)新田泰生(2002)「産業領域における活動モデル」下山晴彦・他( 編)『講座臨床心理学6社会臨床心理学』127-145 東京大学出版会


【定員・参加条件等】

定員 40名
参加条件 日本人間性心理学会学正会員・準会員、非会員の研究者・実践家・大学院生